知識や経験の浅い学生をターゲットにする悪質なブラックバイトの問題への対策として、国が経験者1000人を対象にブラックバイトの実態調査を行いました。
ブラックバイトの実態:学生の61%が経験
国が行った実態調査の対象者、対象者が実際に経験した業種は以下のとおりです。
- 対象者:大学生、大学院生、短大生、専門学校生、合計1000人
- 対象者が経験した業種:コンビニエンスストア(15.5%)、学習塾(個別指導)(14.5%)、スーパーマーケット(11.4%)、居酒屋(11.3%)
学生1,000人が経験したアルバイトの延べ1,961件のうち48.2%(人ベースでは60.5%)が労働条件等でトラブル、つまりブラックバイトとなる事例があったと回答しています。
ブラックバイトによるトラブル事例として勤務シフトに関するものが最も多く、中には明確に違法性のある事例も含まれています。
なお、以下の記事ではブラックバイトの定義と特徴、トラブルの事例に応じた対策と相談先を解説しています。
参考:ブラックバイトの定義と15の特徴:具体的な対策と相談先
違法性のあるブラックバイト:法違反のトラブル
- 準備や片付けの時間に賃金が支払われなかった:13.6%
- 1日に労働時間が6時間を超えても休憩時間がなかった:8.8%
- 実際に働いた時間の管理がされていない(例えばタイムカードに打刻した後に働かされたなど):7.6%
- 時間外労働や休日労働、深夜労働について、割増賃金が支払われなかった:5.4%
- 賃金が支払われなかった(残業分):5.3%
このような明確な労働基準法違反がある場合は、労働基準監督署に相談しましょう。無料で相談できますし、労働基準法違反は刑事罰による罰則もあるため、労働基準監督署が強く対応してくれます。
ブラックバイトによる労使間のトラブル
- 採用時に合意した以上のシフトを入れられた:14.8%
- 一方的に急なシフト変更を命じられた:14.6%
- 採用時に合意した仕事以外の仕事をさせられた 13.4%
- 一方的にシフトを削られた:11.8%
- 給与明細書がもらえなかった:8.3%
労働基準法違反に該当しない場合でも、シフトの強制などはブラックバイトに該当します。労働基準監督署は労働相談コーナーを設置し、無料で幅広く相談に乗ってくれるので我慢せずに積極的に利用しましょう。
ただし、労働基準法に関係しない労使間のトラブルは民事的な争いに該当し、労働基準監督署は権限を持っていないため、ブラックバイトユニオンなどの労働組合に相談する方がオススメです。
ブラックバイトの典型的な事例
以下の事例は、極めて悪質、ブラックバイトの典型例として報道されたものです。
無給で7カ月間働かされ、赤字の穴埋めも求められたとして、仙台市のバーでアルバイトをしていた20代の男子大学生が18日、未払い賃金など計約210万円の支払いを男性経営者に求める労働審判を仙台地裁に申し立てた。
代理人の太田伸二弁護士は「労働法の知識の乏しさにつけ込んだ『ブラックバイト』の典型」と指摘した。ブラックバイトに関する労働審判申し立ては異例という。
申立書によると、学生は昨年4月から同市青葉区国分町のダイニングバーで、時給750円の契約で1日9時間、週3回勤務していた。スタッフは経営者と学生の2人だった。
経営者から同9月、「賃金は歩合給にする」と通告され、8月分から賃金が支払われず、赤字の穴埋めも要求されるようになった。今年2月に退職したが、穴埋め名目の要求額は196万円に上り、うち10万円を支払ったという。
学生側は「穴埋め分を『親戚にも支払ってもらう』などと言われ退職できず、長時間労働で学業にも支障が出た」と訴えている。
学生アルバイト:7か月間無給で働かされる…仙台のバー(毎日新聞2015年11月18日)
働いた分の賃金も支払われない、ましてや経営者の責任である赤字の穴埋めまで要求され、「穴埋め分を『親戚にも支払ってもらう』などと言われ退職できず」と脅迫までされています。
ブラック企業やブラックバイトなんて辞めてしまえばいいと無責任に言う人がいますが、人間すべての面で悪い人なんていません。
あくまで想像ですが、この経営者も最初は良い人だったでしょうし、学生も相談に乗ってもらったりお世話になった部分もきっとあったと思います。
そんな経営者が困っていたら恩返しをしたい、そんなこともあってズルズルと、7か月も無給で働かされる中で、精神的に追い込まれ、正常な判断ができない状態に置かれていたのはないでしょうか。
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